急速拡大装置(Rapid Palatal Expander,:RPE)は、Ⅰ期治療(早期治療)でよく使用される装置の一つです!当院では、Ⅰ期治療を行う方の95%に使用すると言っても過言ではありません。
<目的>
・上顎の拡大
急速拡大装置は、上顎の幅を広げるために使用されます。
上顎を横に広げることによって、さまざまな不正咬合の改善に繋がります。
そのため、歯が生えるスペースが足りなく、歯並びが乱れてしまっている場合だけではなく、上下の顎の位置関係がズレている「受け口」の子に対しても使用します。
<構造>
急速拡大装置は、通常上顎に固定される金属製の装置で、中央にネジがあります。
そのネジを回すことで左右の上顎骨を少しずつ広げていきます。このネジは保護者の方にご協力いただいて、自宅で回していただいます。
<治療の流れ>
①装置のネジを回して、上顎を拡大する
装置を装着し、約1ヶ月にわたってネジを回すことで上顎を拡大します。この段階で上顎の骨がゆっくりと割れていきます。
②維持段階
拡大が完了した(ネジを規定の回数回し終わった)後、拡大した状態を維持するために装置を一定期間そのまま使用します。
通常ネジを回し終わってから、2ヶ月間保定のために上顎につけたままにしておきます。この間に新しい骨が形成され、安定します。
<使用方法>
装置の中心には小さなネジがあり、これを回すことで上顎を広げていきます。通常、1日1回ネジを回すことが必要です。
①準備
・清潔な手で、装置に付属している専用のキーを準備します。
・ネジが見えるように、明るい場所やスマートフォンのライトで照らしながら行うことをお勧めします。
②キーの挿入
・キーを装置の中央にある穴に挿入し、しっかりと固定されていることを確認してください。
③ネジの回転
・キーを喉元の方向に向かってゆっくりと回します。この動作によってネジが回転し、上顎が少しずつ拡大します。
・一度回しきったら、次の穴が手前に見えてきます。穴が見えてきたら、キーを取り外します。
④完了
・これで1回分の調整が完了です。装置をチェックし、ネジがしっかり回っているか確認しましょう。
⭐︎スケジュールの管理
→回すたびに、スケジュール表やカレンダーにチェックを入れると、管理がしやすくなります。
<治療期間>
上記の通り、上顎を拡大する期間は約1ヶ月ですが、その後の維持期間を含めると、約3ヶ月にわたることが一般的です。
<注意点>
・治療開始時は、軽い不快感や圧迫感、違和感を感じることがありますが、通常は一時的です。
・ネジは必ず1日1回回し、歯科医師が指定した回数を守って、使用することが非常に重要です。
・上顎に装置がつきっぱなしになり、奥歯には歯に一周バンドが巻いてあるため、磨き残しが溜まりやすいです。
そのため、保護者の方の仕上げ磨きは、矯正治療開始前よりもより丁寧に行っていただく必要があります。
・装置が外れたり、痛みが強い場合は、すぐに矯正医に連絡してください。
急速拡大装置は、小児の矯正治療において非常に有用なツールであり、早期に適用することで将来的な矯正がスムーズになる可能性があります。
しかし、お子さまの協力のみならず、保護者の方の協力が重要となります。
使用方法や注意点は、急速拡大装置を装着した際に、詳しくお伝えさせていただき、ネジの回し方も一緒に練習をさせていただくので、ご安心ください。