インビザラインの「クリンチェック（ClinCheck）」は、矯正治療の計画を立てるための3Dシミュレーションツールです。このツールを利用することで、患者と歯科医師が治療の詳細な流れや最終的な歯並びを事前に確認することができます。
現在の矯正治療では、従来のマルチブラケット装置と並んでマウスピース矯正(中でもインビザライン)も頻繁に行われるようになってきました。
インビザラインで作成するマウスピースはiTeroという機械を使用して型取りを行い、治療計画の打ち込みを行い、発注をすることによって歯並びを改善するマウスピースが届くという流れです。
[クリンチェックの特徴と流れ]
1.初期データ収集
最初に、患者の歯の型取りや口腔内スキャンを行い、正確な歯並びのデータを取得します。これにより、3Dモデルが作成されます 。
2.治療計画の作成
取得したデータを基に、クリンチェックソフトウェアが治療の計画を立てます。歯科医師はソフトウェアを使って、歯の移動をシミュレートし、各ステージの歯の位置を詳細に確認します。
インビザラインは、型取りをしてそのまま発注をかけたらマウスピースが届いて歯並びが改善する簡単な装置のように見えますが、実はこの治療計画をいかに再現性高く、確実に歯並びが改善するようなものにできるのかという点に歯科医師の知識や技術が求められます。
最近では、あまり経験のない歯科医師によるマウスピース矯正を受けたことにより、歯並びが改善せず、トラブルになるケースが多いです。マウスピースをつけるだけで簡単に歯並びが治るように感じてしまうかもしれませんが、矯正治療は歯科治療の中でも専門性の高い治療です。そのため、矯正治療を行う歯科医師の吟味は非常に重要です。
その一つの指標に、日本矯正歯科学会の「臨床指導医」「認定医」という資格があります。
これらの資格は、矯正治療に関して高い専門性や知識・技術を持ち合わせているという照明であり、特に「臨床指導医」に関しては取得が非常に困難で限られた歯科医師のみが所有しています。(全国に約380人ほど)
もし取得していれば、必ずその歯科医院のHPの歯科医師紹介のページに記載があるので、そちらで確認をしていただくといいかと思います。または、日本矯正歯科学会のHPより「認定医・臨床指導医を探す」というページがあるため、そこから検索をして探すという方法もあります。
話が少し逸れてしまいましたが、この治療計画を立てるという段階が、非常に重要で、矯正治療の精度に大きく関係してきます。
3.アライナー(マウスピース)の製作
最終的な治療計画が確定すると、その計画に基づいてカスタムメイドのインビザラインアライナーが製作されます。
アライナーを発注してから約1ヶ月後にマウスピースが届くので、来院していただきお渡しをさせていただき、矯正治療がスタートします。
ここで非常に大切で重要なこととして、取り外し可能なマウスピースのような装置は、患者様の協力度に矯正治療の完成度が依存してしまうということです。
取り外しが可能な装置は、必ずお渡しの際に「○時間以上使用をお願いします」というように使用時間をお伝えします。インビザラインは1日20時間以上の装着をお願いしています。アライナーは、主にお食事と歯磨きの時は外していただくのですが、それ以外はずっとつけっぱなしというイメージです。
取り外しのできる装置は、外している時間に歯の動きが停止しているわけではなく、動かした歯が後戻りをしてしまっているということになります。また、アライナーは1週間ごとに次の段階のアライナーに交換をしていくため、週に2〜3日も1日の装着時間が短い日があると、次のマウスピースのはまりが悪くなってしまい、結果的に再度型取りをしなくてはいけない可能性も出てきます。型取りを何度も繰り返していると、治療期間も伸びてしまいます。
インビザラインは装着時間をしっかりと守ること、使用方法を守ること、歯科医師を厳選すること、これらを確実に行うことが治療の成功へと繋がります。
4.治療の修正と確認
歯科医師は必要に応じて、治療計画を修正することができます。患者の希望や治療の目標に合わせて最適な計画を立てることが可能です。
アライナーは一度発注したもので終わりではなく、装着時間を守っていても、何度か型取りを行う場合があります。歯の動き方は個人によって異なるため、思ったように歯が目的の位置に動いていない時は、治療計画の修正が必須です。この修正の際にも、現在の歯の動きの問題点に合わせて細かな指示を出していきます。
新しいマウスピースの発注を待って治療が進まない、ということがないように計画を立てて治療を行なっていきます。
まとめ
クリンチェックは、インビザライン治療を成功させるための重要なツールです。このシミュレーションにより、患者と歯科医師が治療の詳細を共有し、最適な治療計画を立てることができます。視覚的に確認できることで、治療に対する理解と安心感が得られ、治療の成功率を高めることができます。
