矯正治療を子どものうちからしておく方がいいのか中々判断が難しいですよね。。。
矯正治療の開始時期の目安は6〜8歳頃と言われています。
しかし、一部の噛み合わせや歯並びに関しては一般的な適応年齢よりも早めに治療開始することをお勧めしています。
例えば、下の顎が上の顎よりも前に出ている「受け口」の方、歯の生え変わりが年齢よりもかなり遅く、生えてくる気配が薄そうな「埋伏歯がある方」、歯が生まれつき歯がない「先天性欠損がある方」、そのような方は早めに治療をお勧めしています。
早めの治療とは具体的には5歳頃からの治療を指しますが、5歳ちょうどに治療をスタートできるお子さんはそれほど多くありません。
特に子どもの治療になると、装置の変更を行うたびに歯の型取りを何度か行う必要があります。型取りの際には、粘土のような型取りの材料をお口の中に入れて固まるまで数分間我慢をしなくてはいけませんが、大人でも苦手なこの型取りを5歳の時点で上手に取れればすごいですよね。
そのような場合は、早めのスタートが良いと言ってはいますが、型取りができるようになってから矯正治療をスタートしていきましょうと伝えています。年齢を重ねるとチェアにも1人で問題なく座れるようになり、型取りもできるようになります。型取りができるようになるまでは、定期検診には3ヶ月に一度は通ってもらい、虫歯のチェックやフッ素を塗ってもらいながら、歯医者さんの雰囲気や口の中を触られることに慣れていきましょう。
また、受け口の子は、将来大人になってから治療をしたいとなった場合、上下の顎の位置関係のギャップが大きいと矯正治療のみで歯並びを改善することは難しく、顎の位置関係を正常な位置に戻す手術を受けつつ、矯正治療を受ける必要があります。
この場合の治療は、「顎変形症」という病名がつくため、本来自費診療である矯正治療が保険内で治療可能になりますが、全身麻酔下の中手術を行い、手術後は1〜2週間入院が必要です。受け口の方の治療は大人になってから不可能ではないですが、身体的な負担が非常に大きいです。
歯並びは歯の生える位置、歯の大きさ、顎の大きさ、顎の位置関係等様々な要因が関係して決まっています。子どもは成長期のため骨も柔らかく、顎の位置関係を治す治療が可能です。子どもの矯正治療は「歯並び」を治すよりは「顎の位置関係」を治す治療になります。
歯並びや顎の位置関係が正常ではないと、見た目も気になることがありますが、適切に上下の歯が噛み合っているところと全く噛んでいないところがあり、しっかり噛んでいるところに噛んでいない分の力の負担がかかってしまいます。
つまり、過剰な力によって歯が割れてしまったり、ヒビが入ってしまったりして、機能的に問題ができてしまいます。
しかし、いつから治療をするのか判断ってむずかしいですよね。治療をいつからスタートしたら良いのかわからない場合は、かかりつけの歯医者にお子さまの噛み合わせは問題ないのか、定期検診の際に聞いてみましょう。また、乳歯が全て生え揃った時点で一度矯正歯科へ話を聞きにきていただいてもいいかもしれません。その時点ですぐに治療をスタートしなくてもいい場合もあったり、すぐには年齢的に治療が難しい場合もあるかと思いますが、乳歯が生え揃った時点で将来的に矯正治療が必要になるのか、顎の位置関係は正常なのかを判断することはできることが多いです。
今すぐ治療ができなくても、一度早めに話を聞きにきていただくことによって、スタートのタイミングを逃すことがないです。
Ⅰ期治療は様々な装置を使用しますが、取り外しができる装置を使用したり、慣れるまでは違和感があるような装置、夜寝る時に使用する装置があるなど、お子さまの協力が不可欠です。お子さまの協力がどの程度得られるかによって治療計画に大きく影響します。
歯は乳歯は6年ほどしか使いませんが、永久歯に生え変わってからはおじいちゃん、おばあちゃんになるまで何十年も使い続ける大切な歯です。一本でも歯が残るように、虫歯や歯周病の予防ケアはもちろんですが、全ての歯が噛み合って噛む力を分散できるように必要な場合は矯正治療を適切な時期に行っておくことは非常に重要です。